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スマートウォッチは不要?映画『アイランド』の健康管理をAIで実現?

映画『アイランド』のような白い部屋で、ホログラムから壁にプロジェクションされた心拍数や呼吸数のバイオデータ(生体情報)をAIが解析している近未来のイメージ。スマートウォッチ不要の健康管理。

かっこいい空飛ぶバイクが登場する映画『アイランド』。 シナリオは大気汚染から守られた「安全なシェルター」で、人類の生き残りが宝くじの当選(地上最後の楽園・アイランドへの移住)を夢見て暮らす、というもの。

主人公たちは健康と安全はおろか、思想、恋愛感情すらも持たないように徹底的に管理されており、この目的は人間の気持ちの悪いエゴそのもの。主人公たちの大立ち回りなアクションがなかなか光る本作ですが、

個人的に「お・・・?ほう・・・」と思う舞台装置が一つ。

それが彼らの居住空間。彼らを管理するあの不気味なくらい静かな白い部屋。

どこか落ち着かないような、言葉にできない嫌な予感が漂っていましたよね。 常にモニター越しに健康状態をチェックされ、食事や行動まで最適化されている……。まさに「ディストピアの象徴」のような様でしたが、

「部屋そのものが持つ機能」に、今のエンジニア視点で見てみると、なかなか興味深い発見がありました。

目次

1. 部屋そのものが持つ管理機能のすばらしさ。

作中ではモニター越しに常に健康状態をチェックされており、行動も摂取する食事もすべて管理されていました。

現代人の我々にとっては、かなり機能がアップしたスマートウォッチといったところだろう。

機能の差を注意深く観察してみたが。以下の差があると考えられる。

アイランドの「部屋」とスマートウォッチの差
比較項目現代のスマートウォッチアイランドの部屋(居住ユニット)
装着の有無必須。腕に巻く煩わしさ、充電の手間がある。完全非接触。全裸でも寝ていても、部屋にいるだけでいい。
データ取得の深さ表面的なバイタル(心拍、血中酸素、皮膚温)がメイン。体内の化学変化まで把握。排泄物や呼気から栄養・ホルモンを分析。
介入の強制力「歩きましょう」という通知(無視できる)。物理的な制限。体調に合わせた食事制限や、行動の強制停止。
ユーザーの意識自分でアプリを確認し、数値を「意識」する必要がある。無意識。気づかないうちに調整されており、考える必要すらない。
映画『アイランド』の健康管理シーンを彷彿とさせる、非接触センサーによる生体データ計測のイメージ。Wi-FiセンシングやrPPG技術を用いて、デバイスを身に着けずに心拍や呼吸をリアルタイムで可視化している様子。
「壁へのデータ投影」。現代のAI技術を使えば、スマートウォッチなしでこれに近い精度での健康監視が可能になりつつある。

完璧に管理されるというのは人間にとってストレスにはなるだろうが、健康維持サービスの一種であるとした場合、読者諸兄はどう思うだろうか?

個人的にはかなり「あり」なのではないかと思う。例えば病院や介護施設などはこれがあるだけで健康管理の業務をかなりやり易くすることが出来ると思う。

個人宅であったとしても、同様で、今の日本に必要なサービスなのではないだろうか。

さて、この技術、現在のAI技術で再現は可能だろうか?

答えは、この技術の入り口に近い技術は存在している。

2. アイランドの居住ユニットを現在のAI技術ではどう再現できる?

映画のような管理を実現するために、現在進行形で開発されている技術がある。それが以下の3つの技術。

  • Wi-Fiセンシング(電波による見守り) カメラを使わず、部屋を飛び交うWi-Fiの乱れだけで「呼吸」や「転倒」を検知する技術。
  • rPPG(鏡の中の診断士) 鏡に映る顔の、目に見えないほどの「色の変化(血流)」から心拍やストレスを弾き出す技術。
  • バイオセンサー・トイレ 排泄物から栄養状態を分析する。これはすでに一部のメーカーがプロトタイプを出しているぜ。

Pythonや高度なアルゴリズムで統合することで、あの「白い部屋」のプロトタイプはすでに完成しつつあります。

それではそれぞれもう少し深堀をしていこう。

Wi-FiセンシングやrPPG(遠隔脈波測定)技術をイメージした抽象的な図解。部屋の中に広がる微細な電波やカメラの光が、寝ている人の呼吸や心拍をデバイスレスで検知・解析している近未来のヘルスケア。
Wi-Fiの電波やカメラの光を利用して、体動や血流の変化をキャッチ。デバイスを身に着けることなく、AIが24時間、健康を見守る時代の到来だ。

① Wi-Fiセンシング(電波の乱れを読み解く)

これはWi-Fiの電波を「レーダー」のように使う技術。 部屋の中を飛び交う電波は、壁や家具に反射していますが、人間が動いたり、呼吸で胸がわずかに上下したりするだけでも、その波形(CSI:Channel State Information)に微細な変化が生じます。 この波形データをPythonの機械学習モデル(CNNやRNN)に読み込ませることで、カメラなしで「今、ベッドから落ちた」「呼吸が浅くなっている」といった状態を1cm単位の精度で検知が可能。

② rPPG(鏡が血流をスキャンする)

rPPG(遠隔光電容積心拍計測)は、カメラの映像から「皮膚のわずかな色の変化」を抽出する技術です。 人間の心臓がドクンと打つたびに、顔の表面の血流量が変わり、肉眼では見えないレベルで色が変化しています。 Pythonの画像処理ライブラリ(OpenCVなど)で顔をトラッキングし、AIでノイズを除去してその「色のリズム」を解析すれば、鏡の前に立つだけで心拍数、ストレス値、さらには血圧の傾向まで算出できてしまいます。

③ バイオセンサー・トイレ(排泄物は情報の宝庫)

作中で、排泄物が自動で分析されるシーンがありましたが、これも現実になりつつある。 便器内に設置されたセンサーが、尿中の糖分やタンパク質、あるいは便の形状を画像解析AIで判定します。 取得されたデータはクラウドに送られ、「昨日の食事は塩分が多すぎました」「水分が足りていません」といったパーソナライズされたアドバイスとして、スマホや鏡のディスプレイにフィードバックされる仕組みです。

作中にあるような居住ユニットを完璧に作ることは出来ないが、それなりのPCと数千円〜数万円のデバイスがあれば上記の技術で環境を構築することが出来ます。

もし興味があれば、以下のwebサイトを読んでみてください。

arXiv.org (アーカイブ): 最新の論文が投稿されるサイト。「rPPG」「Wi-Fi Sensing」で検索すると、山ほど出てくる。

Papers with Code: 学習者ならここが一番オススメ。「論文」とその「Pythonの実装コード」がセットで載っているサイト。理論を読みながら、すぐコードを動かせるから、学習効率が爆上がりすること間違いなし。

IEEE Xplore / ACM Digital Library: これらは工学系の学会誌。一部は有料なものの、概要(Abstract)を読むだけでも「今、世界で何が最先端なのか」が手に取るようにわかる。

3. 未来は管理されるか、それともケアされるのか

作中の管理システムは、まるで家畜といった具合の自由を奪う恐ろしいものだった。

しかし、技術自体に罪は無く、また憎むものでも畏れるものでもない。

利用方法によっては尊い命を守ることが出来るし、技術的実現可能性で示した通り、「先回りしたケア」は、未来の介護や医療が目指す一つの到達点でもあります。

今我々が書いているコードがどう利用されていくのか。それは今後の我々が選択することだと思います。

「あの白い部屋」の秘密、自分の目で答え合わせしてみない?

記事で紹介した「非接触センサー」や「未来のトイレ」。 文字で読むと「へぇ〜」って感じだけど、実際に映像で見るとその「不気味なほどの凄さ」に、思わず「お・・・?ほう・・・」って声が出るだろう。

2005年の映画が描いた「未来の日常」を、今の技術を知った我々の視点で観てみると、新しい発見があって最高に面白い。

今ならU-NEXTで『アイランド』が配信中。 週末のデバッグ(?)のお供に、未来のプロトタイプを覗きにいこうぜ!

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この記事を書いた人

Aspiring AI Engineer. Automating the world with Python & Streamlit. Currently building "WebP Auto-Converter" and "Task-Orbit". ⚓Ex-Seafarer.
日本語:AIエンジニア志望。Pythonによる自動化と効率化。開発ログを公開中。

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